469 ひゃっはぁな生活

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経営コラム SOLID AS FAITH 第469号
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 ご愛読ありがとうございます。第469話をお届けします。

 暑くなってきました。東京では路上でトヨタ社のジャパン・タクシーを
よく見かけるようになり、大手企業群が一斉にテレワークの実験をするな
ど、オリンピックの準備が進められています。一方で、土壇場中止説も収
束してきた消費税引上げも粛々と準備が進められています。

 働き方改革による人件費の高騰、消費税引上げによる消費の冷え込み、
オリンピック終了と共に始まる好況要因の消失、中国経済の本格的な失速
など。企業にとって経営環境の大きなうねりが間近に迫ってきているよう
に感じられてなりません。
 
 そのような経営状態の悪化に対応し、さらに人手不足に対応しようとす
れば、従来の業務方法の劇的な改善や生産性向上しかありません。少人数
の「中の人」の先に各種の先端技術やアウトソーサーなどが組み合わされ
た組織構成になるなら、その「中の人」はかなり広範囲で優れたスキルを
持っている必要があるはずです。
 
 一般に中小零細企業がそのような優秀な人材を雇うことが困難だとする
ならば、普通の人材を雇って育てるしかありません。つまり、人材育成が
経営の生命線になるということです。オリンピック後、数年ほどのた打ち
回りながら、中小零細企業の多くはそのような方向に舵を切るか、淘汰さ
れるかのいずれかの道を選ぶのかもしれません。
 
 そんな企業群が日本経済で増えるとき、人材育成の網から漏れてしまう
人々の大量発生も予想されています。今回の469話はそんな人々がたくさん
存在する近未来を考えてみた内容です。周囲にいる今幼い子供を抱える親
の立場の人々に事前に原稿を読んでみて貰ったら、全員、陰鬱になってし
まった問題作です。是非夏休みのひと時を、ご一緒に近未来に思いを馳せ
ることでお過ごしください。ご意見・ご感想お待ちしております。頂戴し
たご感想などへのお返事の目標納期は5営業日!!

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その469:ひゃっはぁな生活

 読解力の低さが話題になって、さらにOECDによる「国際成人力調査」で
は、日本は諸外国に比してかなり読解力や思考力が高いものの、信じ難い
低能力が暴露されている。
 
 曰く、「日本人のおよそ3分の1は日本語が読めない」、「日本人の3分の
1以上が小学校3~4年生以下の数的思考力しかない」、「パソコンを使った
基本的な仕事ができる日本人は1割以下しかいない」。日本語が読めない3
割程度の日本人も、日本語が読めなくても務まる仕事が多い時代は普通に
生活できた。パソコンができない9割の日本人もパソコンを使わない仕事を
していられた。その状況が急速に失われつつある。
 
「こうなると、これまで職場で支障のなかった機能不全が、“障害”とい
う形で表に出てくる。(中略)労働不適格者を増やしていくとどうなるの
だろうか。答えは実に明快だ。その人たちの居場所をつくり、維持するた
めのコストがかかるだけである。日本では、施設などが行う障害者支援事
業に1兆4500億円、精神科の入院費に1兆3632億円、そして刑事犯の矯正に
2334億円が投じられている。刑事犯罪と障害者は関係ないように思われる
かもしれないが、刑務所への年間新規入所者約2万人の実に20%以上に相当
する4400人がIQ70未満ないしテスト不能な人たちである。社会から排除さ
れれば、結局これらの施設のどこかに行くかホームレスになるかしかない
のである」。

 中島隆信教授による『障害者の経済学』の突き刺さるような一節。人口
全体は減る一方なのに、社会における障害者の割合も、職場における障害
者の構成比率も上昇し続けている。現実は揺るがない。社会の変化が障害
を創り出していると著者は言う。

 パチンコ店の案件を初めて引き受けた時に、当時の大人気台の研究のた
め『北斗の拳』を全巻読み返してみた。どう見ても知的水準が高いとは思
えない雑魚の悪役達は、悪逆非道を重ねつつ「ひゃっはあ!」と自由奔放
に愉しい毎日を過ごしている。核戦争後の終末世界で、一体どこからどう
やって丹念に縫製されている様子の革ジャンや砂塵の中も問題なく走り続
けるバイクを調達しているのか、とても不思議だった。

 核戦争を待つまでもなく、構造は実現しつつある。労働不適格者は構成
比でも絶対数でも増え続けて、いつか多数派になる。数兆円では収まらな
くなって福祉制度は破綻する。その時、多分労働不適格者を締めだした職
場の人々は最先端の技術で革ジャンやバイクを製造し続けているのだろう。
悪事もそこそこに働く場所のない労働不適格者はベーシック・インカムで
それらを購入しているのだ。四捨五入して60になった私も、いつの日か労
働不適格者になって長生きすれば再生医療技術であんな生活ができるのだ
ろう。

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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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【MSIグループからのPR】

弊社ウェブに掲載中の
中小零細企業の現場に即した
オリジナル社員研修の企画サービスの事例を紹介しています。

研修と言えば…
まずは会社の階層ごとの研修の種類があって、
新入社員にはマナーや会社で働くルール、
管理者に近づいてくるとリーダーシップ…
と定番の研修プログラムが用意されているような気がします。

弊社のサイトには、『研修柔軟企画』というページがあります。
 http://msi-group.org/msi-4employees/

オリジナルの研修を現場の課題に合わせて企画します。
値段が上がりがちな「講師料」をカットするために、
社員だけで完結する研修の台本と教材だけを提供することもあります。

世の中のメニュー制の研修サービスが余りに定番なので、
柔軟なオリジナル研修企画は想像しにくいと言われます。

そこで、柔軟な研修企画の事例を合計6本も
弊社サイトで紹介することと致しました。
その第四弾は…

『パチンコ店個別研修企画物語 vol.4
「地域密着感がない副主任対策」』
 http://msi-group.org/msi-customized-training-plan-case-de/

「地域密着!」
これを営業戦略の核としているという店舗は
世の中にたくさんあります。
その割にはそこの社員もスタッフも
何か特別なことをしている訳ではないことがあります。

地域密着の方針がお客の肌感覚にまで届くには、
そこに存在している社員やスタッフが、
地域密着しているべきなのは当たり前です。
こういうことも個別研修で実現することができます。

是非、ご一読ください。
御社のヒトがらみの課題も、
解消はムリでも緩和ぐらいはできる可能性大です。

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【MSIグループの仕入完了報告(抜粋)】

■『サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい…』 三戸政和 著
■『行動経済学まんが ヘンテコノミクス』 佐藤雅彦 他著
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
 合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
下のアドレスにご意見・ご感想を頂ければ幸いです。
 bizcom@msi-group.org
このメールマガジンは、
インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を利用して発行しています。
(http://www.mag2.com/ ) 

毎月10日・25日発行 盆暮れ年始、一切休まず足掛け20年。

マガジンID:0000019921 (ナント、たった5ケタ)
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次号予告:
 第470話 『生涯学習』 (8月25日発行) 
 脳の研究が進んで、一昔前に言われていた「カラダの中だけで脳細胞だ
けは増えることがない」や「知能のピークは20代に来て、あとはひたすら
下り坂」などの常識が覆されつつあります。そんな脳の中小零細企業での
使い方を一考してみました。

(完)